コーヒーは癌を予防する

コーヒーは癌を予防する効果があるとする調査結果が次々に発表されています。

具体的に見ていきましょう。

1日1杯のコーヒーががんにかかるリスクを3%低下させる

BMC Cancerという腫瘍学の専門誌に掲載された研究論文によると、コーヒーを飲む習慣のある人ががんにかかる確率は、そうでない人に比べて13%、非常に多く飲む人では18%低くなるとの結果が出ています。

リスクの低下が見られたがんは、乳がん咽頭がん大腸がん子宮体がん食道がん肝臓がん白血病すい臓がん前立腺がんと、多岐にわたります。

論文 Coffee consumption and risk of cancers: a meta-analysis of cohort studies

コーヒーをたくさん飲む人の肝臓がん発症率は低い

コーヒーのがん予防効果の中でも最もよく知られているのが、肝臓がんの予防でしょう。その予防効果がよく認められているからです。

日本全国の40歳から69歳の男女約9万人を7~9年に渡って追跡調査した結果が報告されています。

9万人をコーヒーの摂取量ごとに「ほとんど飲まない」「飲むのは週に1,2日」「週に3,4日」「一日1,2杯」「一日3,4杯」「一日5杯以上」のグループに分け、肝臓がんの罹患率を調べるというものです。

結果、肝臓がんにかかるリスクは、「ほとんど飲まない」人を1.0とした時、「週に1,2日」の人は、0.75、「一日1,2杯」の人は、0.52、「一日5杯以上」の人では、0.24となり、コーヒーを多く飲む人ほど、肝臓がんリスクが低いことが分かります。

コーヒー摂取量と肝臓がんリスク

論文 Influence of Coffee Drinking on Subsequent Risk of Hepatocellular Carcinoma: A Prospective Study in Japan から作表

ミラノ大学の研究では、コーヒーを飲む習慣のある人の肝臓がんリスクは、飲まない人に比べて40%低いという結果が出ています。

論文 Coffee Reduces Risk for Hepatocellular Carcinoma: An Updated Meta-analysis

コーヒーは子宮体がんのリスクを低下させる

子宮体がんについてもコーヒーの予防効果は期待できます。

こちらは、アメリカでの研究です。
約6万7千人の女性(34歳から57歳)に対する26年間に渡る調査の結果、1日に4杯以上のカフェイン入りコーヒーを飲む人の子宮体がん罹患確率は、1杯未満しか飲まない人に比べて30%低いことが分かりました。

デカフェインのコーヒーでも同様の傾向が見られ、コーヒーと並んでよく飲まれているカフェイン飲料である紅茶では、摂取量と子宮がんとの相関関係は認められなかったことから、カフェイン以外の成分も作用していると考えられます。

コーヒー紅茶と子宮体がんリスク

論文 A Prospective Cohort Study of Coffee Consumption and Risk of Endometrial Cancer over a 26-Year Follow-Up から作表

日本の研究では、40~69歳の女性約54,000人を1990年から15年間追跡した調査があります。

こちらは、コーヒー摂取量別に「週に2日以下」「週に3,4日」「一日1,2杯」「一日3杯以上」の4群を設定し、子宮体がんの罹患率を観察したものです。

やはりコーヒーを多く飲むグループほど、子宮体がんの発生が少ないという結果でした。

コーヒーと子宮体がんリスク

論文 Coffee consumption and risk of endometrial cancer: a prospective study in Japan. から作表

コーヒーがなぜ子宮体がんを防ぐのかについては研究中ですが、体がんには女性ホルモンのひとつであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の他にインスリンが関係しているとの仮説があり、コーヒー(クロロゲン酸)のインスリン感受性を改善する効果が、子宮体がんの防止につながっているのではないかと目されています。

また、低アディポネクチンの状態は、子宮体がんのリスクを増大させる可能性があり、コーヒーによってアディポネクチンが増えることも関わっているのではないかと考えられています。

※子宮頸がんには、ウイルスが原因しています。子宮体がんとは異なるものです。

コーヒーは乳がんのリスクを低下させる

日本女性の乳がんが増えています。

下のグラフはピンクリボンフェスティバルさんのHPにあるものです。

食の欧米化の他に、女性の飲酒が増えていることが、日本人女性の乳がんを増やす要因になっていると考えられています。
運動量の減少や、授乳の減少も原因しています)

過去に行われた研究37件を解析した結果、閉経後の女性では、コーヒーを飲む人の乳がんリスクは、飲まない人に比べて5%低いことが分かりました。

また、アンジェリーナ・ジョリーで話題になったBRCA1遺伝子変異のある人のケースでも、コーヒーを飲む人のほうが30%乳がんリスクを低減できるという調査結果も出ています。

コーヒーは大腸がんリスクを下げる

日本では、男女共に大腸がんが増えています。

日本人には胃がんが多く、欧米人には大腸がんが多いと言われてきましたが、食が欧米化したことに伴い、がんの発生しやすい部位にも変化が見られます。

コーヒーは大腸がんにも予防効果があるとされる研究結果が出ています。

2007年に発表された日本人男女約9万6千人を対象とした追跡調査の結果、男性の場合、大腸がんとコーヒーの間に相関関係は見られず、女性における結腸の浸潤がんについては、コーヒーをたくさん飲む人ほどリスクが低くなる傾向が見られました。

※浸潤がん=がんが、腸粘膜を超えて広がった状態のがんのことです。粘膜内に留まっているケースは、粘膜内がんと呼ばれます。

論文 Coffee consumption and risk of colorectal cancer in a population-based prospective cohort of Japanese men and women

その後2012年にアメリカ衛生研究所により行われた調査では、コーヒーの摂取量が多いグループは、大腸がんリスクが15%、結腸がんリスクが21%低下するという結果でした。

この調査は、対象者45万人を10年間追跡したもので、部位別では、結腸がんのリスク低下が目立ち、男女共にリスクが低下しています。

また、紅茶と大腸がんには相関関係が認められませんでした。
大腸がんの予防は、カフェイン以外の成分の効能である可能性が高いです。

論文 Coffee consumption and risk of colorectal cancer: a meta-analysis of observational studies

大腸がんには、高インスリン血症や糖尿病が関係していると見られています。
コーヒーの血糖値抑制効果が、大腸がんの予防にも繋がっているのかもしれません。

参考 クロロゲン酸が血糖値の上昇を防ぐ~コーヒーで痩せる理由3

コーヒーは咽頭・口腔がんのリスクを低減する

アメリカがん協会の研究チームが1982年から2008年にかけて97万人を対象に実施した調査によると、コーヒーを一日4杯以上飲む人の咽頭・口腔がん罹患リスクは、まったく飲まない人の49%だとのことです。

咽頭・口腔がんによる死亡リスクの比較においても、コーヒーを飲む量が多くなるにつれリスクが低下しています。

コーヒーと咽頭口腔がん死亡リスク

咽頭がんリスクの低下は、カフェイン抜きのコーヒーにも見られましたが、その傾向はカフェイン入りのコーヒーのそれよりも弱かったことから、咽頭がんの予防には、カフェインだけでなくカフェイン以外のなんらかの成分も関わっているものと考えられます。

論文 Coffee, Tea, and Fatal Oral/Pharyngeal Cancer in a Large Prospective US Cohort から作表

日本の研究でも、コーヒーを一日に1杯以上飲む習慣のある人の咽頭がん、食道がん、口腔がんにかかる確率は低いという結果が出ています。

咽頭がんも、近年増加傾向にあるがんです。
忌野清志郎氏も咽頭がんでした。あの声をもう一度聴きたいと思う人が大勢いることでしょう。

日米どちらの研究においても、喫煙飲酒をする人であってもコーヒーによってリスクが低下していますが、タバコやお酒が咽頭がんの大きな原因であることに変わりはありません。
ここで言うのも変ですが、コーヒーを飲むより煙草やお酒を減らすほうが有効と存じますです。はい。